(72)雨の夜、夜行列車に/赤川 次郎 著
赤川次郎のサスペンスミステリーの醍醐味が味わえる作品である。
元大臣のボケがかった老人と私設秘書。覚醒剤がらみの金に手をつけ暴力団と警察の両方から追われることになる逃亡犯とその妻。彼らを張り込み中に自分の妻と部下の浮気を知り一計を図る刑事。会社をリストラされ自殺覚悟で旅に出るサラリーマンと彼と駆け落ちする元部下の女性。それぞれバラバラでつながりのない男女が午後九時東京駅発の列車に乗り込むことになり様々な事件が起こる。十数人もの登場人物を書き分ける手際の良さは赤川氏ならではのもの。朝から夜九時までという限られた時間の中での出来事を様々に書き記しながら大きな流れにつなげてゆく手法は読み応えがある。