(563) 赤川次郎/ローレライは口笛で
ナースのヒサエ・カズコ・チズら三人は、ローレライ伝説のライン下りの旅行中、心臓発作を起こした老紳士を助け、お礼にチェスの駒が付いたキィホルダーをもらった。帰途、その紳士が行方不明の大学教授だと知り、ヒサエは頼まれもしないのに研究室に連絡する。しかし善意の行為から事態は展開し、三人が勤務する病院内や彼女の身辺で殺人が連発してしまった。心臓発作で入院中の少女まで使う囮り捜査など常識では考えられないような刑事の発意には、何やら見え隠れする悪の組織の影に対決しようとする警察の決意すら感じてしまう。連続殺人はどうやらチェスの駒のキィホルダーを巡っており、なぜかローレライのメロディがいつも伴っている。
トレンチコートに帽子を目深にかぶり影のような暗殺者。名前もなく組織のなかでねじれきった殺しのプロの恐ろしさは一息に読み進んでしまう。
仲間を人質に取られて救出に苦心するあたり、病院の患者の安全を第一にと厳とした婦長の行動のくだり、勇気ある囮りの少女の心情など、美しいローレライと連動してのミステリードラマです。