拡大写本データ・リストへ戻る 内容紹介リスト トップへ戻る


(775) 赤川次郎『起承転結殺人事件』

 新米の井上刑事と、かなり癖の強い古株の大貫警部。将来を有望視されていたはずの井上刑事なのに、そんな警部のお守り役を押しつけられてしまったからたまらない。毎日が大貫警部を中心に動きだし憂鬱の連続である。そこへ登場してくるのが、中華料理店で客を人質にとって立てこもったライフル魔の娘向井直子である。
 事故で沈んだはずの遊覧船の元船長がライフル魔となって人質をとったのには訳があった。元船長は、「あれは計画的に起こされた事故である」と考えていた。その事故の真相追求を捜査一課の刑事に頼みたかったのだ。その願いを叶えてあげるべく、井上刑事は大貫警部を伴って事故現場へと赴くことになる。そこで直子と共に事故の真相を探っていくうちに、二人はお互いに惹かれていくようになる。大貫警部とコンビを組んで以来殺伐としていた井上刑事の生活にもようやく潤いがでてきた。
 ストーリーの展開を楽しみながら、今ひとつ押しの弱い井上刑事の歯がゆさや、ほのぼのとした二人の関係の展開をも楽しむことができる。「一口で二度おいしい」作品である。