バリアフリー出版としての大活字出版に関する位置づけ、定義、意味合いについては様々な見方があるのが現状だと思います。現状のバリアフリー出版を見るに、出版社の社会貢献活動の意味合いが強く、通常の商業活動といえるような収益活動ではなく、まだまだ分かりにくい活動であると言えます。
一方、ボランティア活動に関してもその位置づけ、定義、意味合いについては同様に様々な見方があり、ボランティア活動における「無償」「非営利」という概念もどこまでを指すのか社会的に定着しておりません。このような状況下で、ボランティアグループである当会が、バリアフリー出版に参加し、完全にコスト以下とは言え一定の価格を定めて頒布する活動を行うことは、さらに分かりにくい活動に見えてしまい、社会から理解を十分に得るには相当の時間がかかるものと思われます。
当会のバリアフリー出版としての大活字出版は、著作権者(いずれも視覚障碍者)から、利用者に制限をつけずに視覚障碍者のみならず高齢者等まで読みやすい大活字本を是非提供したいので協力して欲しいと懇願され、その熱意に打たれて採算を度外視して協力してまいりました。
当会のバリアフリー出版としての大活字出版は、利用者を制限せずに視覚障碍者から高齢者等まで幅広く提供することを著作権者から承諾を得て(実際は著作権者からの意向により)行っております。視覚障碍者を強く意識した活動ですし、実態としては視覚障碍者および視覚障碍者関係施設が購入しているとは言え、高齢者を始めとした一般の健常者も購入することも可能です。
バリアフリー出版についての社会の理解が深まっていない現状におきまして、当会がバリアフリー出版を行ったことにより、なぜBBAは視覚障碍者を支援する団体であるはずなのに、高齢者等の健常者にまで提供するのか!?という疑問を招くことにもなりました。
このような社会の状況下では、社会から疑問を招く可能性を排除するために、当会は主流の活動である無償提供のボランティア活動(拡大写本作り、テキストデータ作り、点字データ作り)に専念し、非主流の活動であるバリアフリー出版としての大活字出版からは撤退します。
バリアフリー出版は、当会のようなボランティアグループが行うことはなじまないものであり、資金力のある出版社や組織が社会貢献活動の一環として推進していただくことを祈念しております。
平成16年9月17日
視覚障碍者読書支援協会
これまで出版して参りました以下の3タイトルにつきましては絶版とします。
記
1.菅野芳亘(全盲)著『紅衣少女』(原本:新風書房刊)
2.松井進(全盲)著『盲導犬アンドリューの一日』(原本:ポトス出版刊)
3.松井進(全盲)著『見えない目で生きるということ』(原本:明石書店)